茎は短くて直立する。葉は茎の先端に集中して放射状に配列し、斜め上に伸びるので、全体としてはお猪口のような姿になる。茎の側面はたくさんの根が出て、黒褐色のふわふわしたスポンジ状の固まりとなる。着生植物で、熱帯や亜熱帯では樹木の幹や枝に付着して成長する。ただし、日本本土など比較的寒冷な地域では岩の上や地上で生育するものが多くなる。
葉がお猪口型になるのは、落ち葉をここに集めて、自分が成長するための肥料とするための適応と考えられる。ここに溜まった落ち葉はやがて腐葉土になり、葉の間から出る根によって保持され、株の成長とともに株の下部に発達する根塊の一部となる。このように、大量の根が樹上に大きなクッション状の構造を作るため、ここに根を下ろして生育する植物も出現する。沖縄ではオオタニワタリやシマオオタニワタリの大株には、必ずと言ってよいほどその下の根の部分から着生性のシダ植物であるシマシシランが多数の葉を垂らしているのを見かける。同様な着生シダのひとつコブランもこのようなところに生育する。また、ここにもぐりこむ昆虫もおり、東南アジアにはこの仲間の根塊にのみ穿孔生活をするクロツヤムシの存在がよく知られている。このように、タニワタリ類の根塊は一つのまとまった生物群集を支えることとなる
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